不妊外来ー 診療内容 ー
不妊症
不妊症とは、正常な夫婦生活があって2年以内に妊娠しない場合をいいます。これは、通常、夫婦の90%以上が2年以内に妊娠するという事実に基づいています。過去に妊娠の経験がないものを「原発性不妊」、妊娠したことはあるがその後2年以上妊娠しない場合を「続発性不妊」と呼びます。
不妊症の原因は、女性側の原因が約3割。男性側が約3割。男女両方が3割。原因不明が約1割と考えられています。男性の不妊症のほとんどが精子が少ないか、精子に元気がない場合ですが、まれに無精子症があります。
女性側の原因については、ホルモンの分泌が悪く、大きくて立派な卵子が成長しないことがほとんどですが、黄体の機能が低いため子宮内膜の状態が悪く、受精卵が子宮内膜に着床しにくいケースもあります。
当クリニックでは「分娩」は取り扱っていませんが、「健診」のみを当クリニックで行ない、分娩は大きな病院で安心して行うという、最新のオープンシステムを採用しております。今後の日本においてこのようなシステムが定着するようになると思われます。このシステムを利用し、厚生年金病院、千船病院、日生病院等に紹介させていただき、また妊娠中の異常に関しても上記の病院に紹介させていただきます。
不育症
不育症(習慣性流産)とは、妊娠しても流産や早産または死産を繰り返し、元気な赤ちゃんを得られない状態をいいます。
同じように使われる「習慣性流産」は、3回以上流産を繰り返すことをいいます。
検査内容 | 検査時期 | 検査方法 |
---|---|---|
染色体検査 夫婦 | いつでもOK | 採血 |
甲状腺ホルモン | いつでもOK | 採血 |
抗リン脂質抗体 | いつでもOK | 採血 |
LAC・凝固時間 | いつでもOK | 採血 |
子宮卵管造影検査 (子宮の形や卵管の通りを見る) |
生理後の低温期 | 膣からカテーテルを入れ、子宮と卵管に造影剤を注入し、レントゲンをとる |
40%の女性が生涯に流産を経験します。不育症で悩む女性の正確な数字は明らかではありませんが、2~5%程度の女性が不育症で悩んでいるといわれています。
妊娠しても流産や死産をくりかえしてしまう場合、それは「不育症」です。
原因は人それぞれですが、検査と治療によって85%もの不育症患者が出産にたどりつくことがわかっています。あきらめる前に検査と治療を受けましょう。
- 不育症の原因は…?
- 原因はいろいろ考えられますが、妊娠初期の流産の大部分は、胎児(受精卵)の染色体異常が原因で、両親の原因は少ないとされています。そのため、1回だけの流産で原因を調べる必要はないと思われます。3回流産を繰り返す場合は、両親のどちらかに原因があると考えられますので、検査をお薦めします。 夫婦の染色体異常に加えて、妻側の要因としては、「子宮形態異常」、「内分泌異常」、「凝固異常」、「免疫異常」など種々の要因があります。この中には、運悪く流産を繰り返しただけで、異常が無い人も含まれます。
- 不育症の治療にはどのようなものがありますか?
-
検査で見つかった異常について治療を行います。内科疾患やホルモン分泌異常が見つかった場合にはその治療を行います。凝固因子異常や抗リン脂質抗体症候群では、抗血栓療法(アスピリン内服やヘパリン注射)を行う場合もあります。
今のところ原因不明不育症に対する確立された治療法はありませんが、積極的な治療をしない経過観察でも比較的良好な結果が得られています。
- 流産はどれくらいの頻度でおきますか?
- 女性の年齢にもよりますが、妊娠の15%程度が流産になると言われています。 妊娠反応だけが陽性で、子宮の中に赤ちゃんの袋がみえる前に流産してしまう化学流産はもっと高率(30.0%)に起こっています。通常化学流産は不育症の流産回数には含めません。
- 流産は女性の年齢と関係しますか?
- 妊娠の年齢が高齢になると流産率が増加すると考えられています。特に母体年齢が40歳以上になると流産の頻度が40≠T0%程度に増加します。・
- 一人目は問題なく妊娠し出産しましたが、その後流産が続いているのですが・・・
- 「続発性不育症」として同じように検査をおすすめします。
- 普段の生活で注意することは・・・?
- 病気の悩みについて主治医の先生と良く相談しておくことも大切です。不育症についてきちんと説明を受けることは治療にも良い効果をもたらします。 喫煙は流産に関与する可能性があるので禁煙した方が良いでしょう。 過度のアルコールも控えたほうが良いです。